自分の好きを忍ばせる。

オーダーを良いところは、自分の「好き」を詰め込めるところ。
自分好みのデザイン・シルエットにカスタマイズしたアイテムは、世の中に一つしかない唯一無二なものです。

特にヨシムラのお客様は、そんな自分の好きを目一杯表現しながらお仕立てを楽しまれる方が多いのですが、今回はその好きを「裏に忍ばせた」あるお客様の面白いジャケットが仕上がってきましたので、そちらをご紹介したいと思います。

そのお客様は、Sさん。これまでもヨシムラでご注文頂いておりますリピーター様です。

Sさんが今回ご注文されたのは、ハリスツイードのジャケット。
柄はブルーのヘリンボーンと、クラシカルでありながら、洒落感・スタイリッシュさもある【モダン】な印象です。

先ずは、デザイン。

ベーシックな2つボタンですが、ポケットはアメリカントラディショナルなフタ付きのパッチ。また、肩回りはイタリア調のマニカカミーチャと、英・米・伊のミックススタイル。クラシック且つ洒落感のあるブルーヘリンボーンとの相性が抜群です。
このデザインだけでかなり拘りが見られますが、今回のメインは裏です。もう既にチラッと見えていますよね。

そう、今回はかなり珍しいバラの裏地をお付けされました。
何でも、Sさんはバラがすごくお好きで(ロマンチックなお方です)、裏地もバラにしたいと思っていたそうなんですが、これまでそのような裏地のご用意はありませんでした。しかし、先日新たに仕入れました一点物の裏地にたまたまこのバラの裏地がありましたので、何の迷いもなく、今回お付けされました。

しかし、これだけでは”ただ好きな裏地を付けた”というだけです。実は、裏部分に関してもっと拘っているところがあるんです。では、少し引きで見てみましょう。

どうですか？今回、裏地のパイピング部分をブルーの裏地で彩り、また内ポケットの玉縁部分をコーデュロイのオレンジにしました。
いや、ただ合う色を組み合わせただけなのでは？いえいえ、しっかり意味があるんです。

バラ園なんか行くと、もちろん目当ては綺麗に咲き誇っているバラたちですよね。ただ、これらが輝いているのは、それを照らす太陽と美しい空のおかげ、でもあるのではないでしょうか。曇りの時より、晴れた日の時の方が、よりバラは綺麗に映るはずです。
これを表現するために、「空＝ブルーのパイピング」「太陽＝玉縁のオレンジコーデュロイ」と紐づけし、仕立てました。

このように、見えないところではありますが、自分だけのストーリーを裏で表現できるのも、オーダーならではです。
ただ、ここまで細かいことを出来るのは、多分ヨシムラぐらいではないかなと。

今回、実際に着用されたＳさんの写真をとることは出来ませんでしたが、ご満足いただけたみたいですので良かったです。詰め込みすぎてしまうと、ごちゃごちゃして逆に変になってしまうケースもありますからね。

色合わせなどは、我々がしっかりご提案させていただきますので、ご興味のある方は是非ご相談ください！