特殊なオーダーのリスク

先日HPの『お客様いらっしゃ~い・ありがとう』のコーナーにて、Fさんの「渾身のスリーピース」をご紹介しました。
※まだ見られていない方は、先ずはそちらからご覧ください。

Fさんの拘りが詰まった面白いご注文で、仕上り品にもご満足いただけた様子でしたので、色々試行錯誤した甲斐があったな~、と私自身非常にやりがいを感じたオーダーだったのですが、、、実は納品までにFさんに少しご迷惑をお掛けしてしまいまして。今回はそのお話をしたいと思います。

結論から申し上げると、Fさんには【納期の遅延】でご迷惑をお掛けしました。お伝えしていた納期よりもお時間を頂いてしまったということです。
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今回のFさんのオーダーでは、このように別紙を含めて計5枚の仕様書にて工場へ縫製依頼をかけました。
通常のオーダーでは、一番手前の仕様書1枚で収まるのですが、何せFさんは仕様を非常に拘られていましたので、別紙での指示も必要となり、気づけば5枚にもなっていた次第です。

で、無事工場への縫製依頼を終え、待つこと*1ヶ月、納期通りにお品物が仕上がってきました。
*通常納期は4週間ほどあったのですが、新たな型紙作成等の細かい指示が多かったため、Fさんにはプラス1週間頂いていました。

ここまでは順調だったのですが、、、私が検品作業をしているとき、問題が発覚しました。

「指示した仕様になっていない!それも2か所!」

なんと2か所も仕様が間違って納品されてしまってたのです。
実際どこが間違っていたのかというと、、、

※画像のため色に違いがありますが、全て同じ生地です

①ジャケットの腰ポケットが逆
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こちらが正しいポケットで、内側から外側にかけて角度が上がっていくようなナナメのパッチポケットを希望されていました。
ですが、、、
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このように、外側から内側にかけて角度が上がっていく逆の形で付けられていたのです。

なぜこのようなことが起きたかというと、実は工場がもともと用意している型紙はこの間違った「外側から内側にかけて角度が上がっていく形」のものでした。それを私が『逆の付け方(内側から外側にかけて角度が上がっていく)』と指示したのですが、いっぱいある仕様書の中の1つの指示を工場側が見落としてしまい、そのまま付けてしました。

②帯無しなのにステッチが入っている
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こちらが正しい帯無し仕様でなのですが、、、
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このように、帯無しとはいえ帯部分にステッチが入ってしまっていたのです。これでは、帯付きのパンツと同じように見えますよね。

これについては、例え帯無し仕様を選ばれても、何も指示が無ければ、このようにステッチを入れるのが工場の標準だったようです。
ですが、私はそれを知らずに帯無し仕様とだけの指示になっていたので、ステッチが付いてきてしまいました。ですので、これは私の確認不足
によるミスでありました。(すみません、、、)

さて
ミスがあることが分かり、Fさんへ直ぐに謝罪のご連絡をすると共に、工場へは修正依頼をかけましたが、結果、無事指定通りの仕様では納品されたものの、Fさんにはお伝えしていた納期よりも1週間ちょっと遅れてのお渡しになってしまいました。
Fさん、ご迷惑をお掛けし誠に申し訳ございませんでした。

ただ、我々のミスを否定するわけではありませんが、お客様の依頼を受ける者(店舗)、またそれを形にする者(工場)も皆「人」です。そのため、注文を受ける段階~仕様書を作成する段階~縫製の段階のどこかでミスが起きてしまうことは極たまにございます。
もちろん、このようなヒューマンエラーを起こさないために、日々対策等を徹底しています。
しかし、今回のような特に難しいオーダーや特殊なオーダーの場合は、我々も出来る限りお受けする分、お客様にはミスが起こる「リスク」が少なからずある、ということをお含みおき頂きたく、お願い申し上げます。
(その点、Fさんはご理解いただいておりました)

本来あってはならないことですが、皆さんにはリアルをお伝えしたく、今回はお話させていただきました。

この記事へのコメント

Y
2024年06月18日 15:59
絵か図面起こして、別紙と一緒に職出するしかないですね…。
帯無しは落としミシンの方が強度優れているからと、工場側の気持ちも分かります。
アウトPの向きはなんともよう言いません(笑)

またブログもお客様いらっしゃいありがとうも拝読しますね👍
頑張ってくださーい!